2015年04月01日

西行法師の桜を三景
『西行全歌集』の中から「山家集・中-597〜599」

 ―花に寄する恋

つれもなき人に見せばや さくら花 風に随ふ心よわさを
 
 風に乗ってはらはらと花を散らす桜のように
 薄情なあなたからふらふらと離れていきそうになる私の弱い心を
 あなたに見せてあげたい

花を見る心はよそに隔たりて 身に付きたるは 君が面影

 錦のように美しく今が盛りと咲き誇る花を見ても
 ちっとも胸が踊らない。
 ただただ君のことを想って、君の面影ばかりを想って
 それだけが私の心を踊り焦がせる。

 ―残花に寄する恋

葉隠れに散りとどまれる花のみぞ 忍びし人に逢ふ心地する

 淡い新緑の葉にそっと隠れるように咲く残りの桜を見つけました。
 忍んでしか逢えないあなたに逢えた気がしました。
posted by ひよこ豆 at 21:15 | 和歌